曲がり家 千葉家

岩手県遠野市 千葉家住宅を初めて訪問してから30年以上前になる。

丘の上に聳え建つ、その曲がり家を観た時の感動は、今でも忘れられない。

今は、重伝建に指定され人も住まなく成った様だが、私が伺った頃は、ご主人が遠野市役所に勤められ住まいとして使われ公開されていたのは馬屋と土間の部分だけだった。

自宅に戻り、早速縮尺25分の1で制作し、展示会などの顔として主役をはって来たが、如何せんその大きさは馬鹿でかく、雰囲気を残しつつ余計な部分をカットしても建坪147坪のこの民家仕上がりば普通の家には飾ることが困難な大きさなのである。

ここ20年以上は、友人の整備工場の事務所に置いて貰っていたのだが、事務所の改装が決まり、友人が会社に来て我が家に届けてくれると言うのだが、長い間置いて貰ったんだから私がお礼方々、伺うと話し、休みに取りに行き、我が家に里帰りする事に成った。

軽トラの荷台に積み込み自宅工房で傷んでいるところ等を30年ぶりに修理してやろうと屋根を外すと、ななっ!何とネズミのお宿に成っていました!

内部はメチャメチャでネズミの糞だらけ、私の小さな工房はネズミの糞と尿の匂いで充満・・・・

これには、たまらず、戦意喪失、修理断念!

単細胞の夢想庵、大切な初期の作品では有りますが記念写真も撮らずに解体。

友人の整備工場の事務所は、山間部では有りますが、サッシが入ってるんですけどね。

てな訳で、岩手県遠野に向かい、指定民家になった「千葉家」を再見聞、制作に取り掛かろうと思ったのだが、ネットで千葉家の休館日等を検索したら、これまた、この春から6年がかりの解体大修理が行われて居るではありませんか・・・・。

どうせ造るなら、今の千葉家を・・・と思いましたが、そんな訳で30年以上も前の資料と写真と最近の千葉家の写真をネットからプリントして、制作を始めた。

30年前より少し小さめの、今回の作品は、30分の1での制作です。
台座を作り、石垣を組み制作開始、石垣の感じが気に入らないので2回やり直しをして台座完成。

写真は制作開始から66時間~70時間の物です。
手が大きく、面で作らないとピンセットや指先での組み込みが難しいんです。
秋には、会津から依頼の須弥壇を作らないといけないので、彼岸の頃までは完成させたいと思うのだが・・・多分完成は年越しか?

※ 私の最近の落書きを読まれた方達は、お分かりかと思いますがA君が退職することになり、18日が最後の出勤と成りました。籍は8月18日まであるのですが18日間は指定休日と年休消化となります。
6月の初めだったか、人情社長のNさんが、夢想庵さんA君は、現状では給料のアップや昇格は無いのか?と聞く。
昇給や昇格は有り得ません。このまま食うには食えるでしょうけど、人の前には出れません。
それどころか、身内で冠婚葬祭などが有れば、資金ショートでしょうね・・・・と話した。

それじゃ~俺の所で使ってやるしか無いんだろうな・・・悪い奴じゃ無いんだから。

Nさんが、良いなら一番なんですが、以前の事も有りますから・・・・
忘れてやれ夢想庵さん。
その代わりお前が身元保証人だからな。
分かりましたお願いします。

給料は、今の給料より手取りで7万円アップで話を決めて、社長の息子さんと一緒に仕事をする事に成りました。
転職・・・・・不安ばかりが先にたつが、頑張って欲しい物です。

私が仕事を終える6時20分にA君と挨拶を交わしました。

A君は、タオルで泣き顔を抑えながら、今までの人生で、夢想庵さんほどお世話に成った人は居ないと話してくれました。

Aよお前の人生はこれからだ!成功するには宝くじに当たる程の確立だが、夢を掴んでくれ!
良くても悪くても、お前の仕事ぶりは聞こえて来るんだからやるしかないんだよ。

期待してるぞ!頑張れA君。
孔子曰く

「五十にして天命を知る」

「天が自分自身に与えた使命を悟った」ということ。
自分の人生に於いて最も重要なものは何かを知るということ。さらに言えば「自分はどのような役割をもってこの世に生を受けたのか」を知るということです。
「これまでの人生を振り返り、自分の役割とは何かを考えなさい」ということです。
真民さんの様に念ずれば花開く・・・・そんな余裕は彼には無いだろう。


写真は、解体処分の千葉家と現在制作中の千葉家です。

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