茅葺民家の今

何度も書いてきたが、人の住む茅葺きの家は、ここ東北でも探し出すのは難しくなった。急激な時代変化生活環境の変化や家族構成の変化、結い制度の崩壊。よくも今まで残ってきた物だと思う反面、今世紀の中盤までは残らないだろうと思われる家の多い事。 確実のその数を減らし続けている茅葺きの民家。茅場の不足や職人の高齢化、屋根の維持管理費の高騰などで、今後、個人がこの茅葺きの家を維持管理していくのはもはや、限界に来ている。

そんな、少なくなった茅葺きの民家だから、プロアマを問わずカメラを担いで三脚をたて、撮影許可も貰わず、地元の方達とのトラブルや家人とのトラブル話しを私も多く聞いたり、友人のHPなどで拝見してきた。秋田では岩手からの写真家?茅葺きの家に泊めて貰い非礼の限りを尽くしていったと、五万米さんのHPで読んだ事がある。

写真家の方達が発表する写真集や情報誌などで、民家の建つおおよその見当はつく。気に入った家や好みの民家なら一度、訪問したいと思うのは当然だと思う。

山形県は冬の米坂線、三脚を立てて目当ての列車や除雪車の写真を撮っている方達を見ると、この吹雪の中良くやるな~?何て思いながら走っているが私も、同じ臭いのする人間かも知れない。

鉄道マニアや写真家も撮影トラブルは有るのだろうか?場所取り位か?線路沿いなどでは他人の敷地もあるだろうから、やはり問題も多いのかも知れない。今度、桃太郎さんに聞いてみよう。

HPの民家の所在はどの様に発表したら良いのか?自問自答したりHPで知り合った方達とメールのやり取りで意見の交換をしてた。好きな方達は、正確な所在まで書いて欲しいし、所在をまともに発表すれば、インフルエンザと同じで感染者「節度のわきまえない人やルール無視」の方達も多くやってくる。撮る側と撮られる側、取材する側とされる側、私が番組に出演する時も、私が話したいと、視聴者が聞きたい事は違う事は肌で感じてきた。メディアはどうしても視聴者の立場にたって番組校正をする様な気がする。

その家に住む方達にとっては全くもって「迷惑」以外の何者でもない。世の中から少なくなったから追いかける。日本の原風景などと雑誌やメディアが発表すれば、こぞってにわか写真家や観光客が押し寄せる。

この30年私が何時も心掛けているのは、その土地の人達との語らいである。家を守る苦労話や習慣など、ある時は食文化まで、そんな話を聞くのが楽しみなのだ。

東北と茨城県なら、他の方に情報を貰わなくても充分だが、その他の地域は茅葺きの民家が少なくなった分、民家との出会いは難しい。桃太郎さん、アトムさん、鳥取県のTさんの情報での散策はやはり 提供者が茅葺き民家を好きな愛好家の方達だから確実な情報だった。一般の方「愛好家で無い方々」、役所からの情報は、以外に空振りも多くあった。

私の所にも、模型の作り方を教えて欲しい。絵を描いているので茅葺きの所在を教えて欲しい。勿論、プロアマを問わず茅葺き民家の所在提供の依頼のメールや手紙が来る。

しかし、全ての要望に応えて来た訳ではない。一方的に教えろ!自分の所在や身分も明かさない方達やその人となりが理解できない方達には、模型の作り方アドバイスや民家所在の情報提供もしなかった。

私が情報を提供した方達は、節度を守り、土地の人達との語らいを楽しみ、お陰様でと感謝の手紙やメールを頂いてきたし紳士的な取材、訪問をしていると信じている。

民家所在を何処まで発表するかは、個人情報と同じで本当に難しい。それより茅葺きの家が今世紀を生きるのはもっと難しい。
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