かやぶき模型作家三者三様

11月の中旬だったと思う。神奈川県藤沢市在住の方から丁寧なメールを頂いた。今は亡き父親が作られた模型を引き継ぎ、少しずつ理解していただける方達に販売していきたいが、如何せん売値の相場が解らないので、近くに来られた時は、お店を覗いて欲しいとの事だった。岡山県倉敷市在住の桃太郎さんから以前に神奈川、静岡県の民家情報を頂いていたので、そちらも散策をしながら、出かけてみる事にした。

11月23日24日の1泊だが、世間は3連休だったのである。常磐道三郷からの渋滞、予定時間を2時間遅れで藤沢市に到着、挨拶もそこそこに模型を拝見した。

今は亡きお父さんが作られた作品が所狭しと並んでいる。傷みの出ている物もあるが、修理をしながら販売したいとの事、120棟位は有るそうだ。引き継がれた2代目の息子さんが、どうやら販売する方針を決めたようだ。

HPにも20万~500万との価格があったが、正直、売り手と買い手の問題も有るだろうが、丸を一つ取った価格が相場?の様に思えた。お父さんは生前安売りはしないと話していたらしいが、情報が溢れている昨今では、作品をHPなどで比較対象できる手段も多くあり、高価格で売却するには少しインパクトと言うか、民芸品の粋を越えられないで居るように拝見した。

模型を作るにも、現場に足を運ばずに、写真集や雑誌から参考に模型を作れば、想像の部分が必ず出て来て、まとまりの無い、へんてこな作品が出来上がってしまう。本人は自信満々でも、実際に生で多くの民家を見てきた者には、その作品をみて違和感を覚えてしまう事もある。 全体的には民芸調で、各民家の特徴を捉えた作品だった。私の作品も2点ばかり持っていったので、見てもらった。写真を撮らせて下さい。と言われ、私にもお父さんの作品を写真に撮らせて頂く事ができた。高く売れれば良いですね~!頑張ってください。とお話して、大磯の1号線沿いにある、かやぶきの民家を訪ね、厚木市の民家を数件訪問、静岡県清水市に向かう。

お父さんの作品の価格設定はもう少し他の作家さんの作品を見てから決めてください。私は売った事がないので価格のアドバイスは出来ませんでした。ごめんなさい。

翌日、伊豆を散策しようとも考えたが、予定を変更して東京都豊島区巣鴨のとげ抜き地蔵さんの近くに、かやぶき模型の作家さんが居るのは、古民家スタイルで拝見していたので、尋ねてみる事にした。土曜日のためか?地蔵通りは歩行者天国駐車場が無い。1キロ位離れた所にやっと見付け、地蔵通りを散策。お目当ての工房が見付からない?

地蔵通りを2往復してみたが、見付からない?小さな個人の美術館があったので、そこで尋ねたら、親切に教えてくれた。地蔵通りから少し路地を入った所に、そのお店はあった。こちらは、実物に忠実に再現!と言うよりは、都市型民芸品とでも呼んだ方が良いのだろうか?横幅はそれなりだが、奥行がコンパクトにまとまっていたり、額縁の中に民家の模型が収まっていたり、モーターで水車が回り、臼の杵が動く。価格もリーズナブルだった。贈答用や記念品としての需要も有るのではないだろうか?商売としては、この手の作品は場所もそんなにとらず、中々考えた作品だった。

作りたい作品より、売れる作品、ユーザーが買いたくなる様な作品と価格帯だった。ここでも、写真を撮らせていただき、埼玉県秩父市の「哀愁のふるさと館」に向かった。

秩父市の「哀愁のふるさと館」をはじめて訪問してから20年近くなる。秩父に観光と骨董品の購入を目的に行った時に偶然発見した。まだオープン前で、入場料は無料だった。

はじめて作品を拝見した時に、その精巧さに感激した。自分の作品と比較しても、比較対象に成らない位に出来栄えだった。15/1で作っているのは、内部をよりリアルに正確に作るためだろうか?集落を再現、母屋、蔵倉庫、隠居や田んぼ、小川、牧歌的風景が正確に再現されていた。私も最終目的は、福島県下郷町の大内宿のような、宿場町を模型に再現してみたいが、今の状況では、大きな作品を作ってしまえば、保管や移動が困難になるので資料館などが、出来た時には、是非、挑戦してみたい。

今回で、3度目の訪問だったが、訪問する度に、刺激をもらってくる。館長さんは、日本全国を訪問佐渡や八丈島まで散策して模型を作っていると話してくれたが、それならモデルになった写真を作品の横に添えてくれると説得力があると思う。

福島県会津地区の集落模型もあった。この模型は会津の何処ですか?と尋ねてみた?この集落はもう無いよ!で終わりだった。 自分が訪問散策した時の記録写真はこれだよ。と見せていただければより説得力があり感激しただろう。作品のモデルになった家の写真が展示されていない事が、残念だった。

それにしても、作品の完成度は何度は意見しても素晴らしい。今回は女房と2人での訪問だった。女房が館長に捕まり早口で延々と作品の解説をされていた。

館長さん、自慢話も良いですが、質問されたら解説してくれると良いですね?お金を払って、館長さんの作品の自慢話を聞かされたら、たまりません(笑)

しかし、何時拝見しても刺激を貰える館長(逸見雄一)さんの作品は、素晴らしい作品ばかりだった。

今回は、かやぶき模型の作家3人を偶然にも訪問する事が出来たが、三者三様で個性があり、私も少なからず刺激を受けて帰路についた。

inserted by FC2 system