懐かしい風景

懐かしい風景 その1

島根県三刀屋町
工場が全停止し補修改造をやっているので一ヶ月休みが無かったが昨日、今日は休みでノンビリ午睡をむさぼり、ビデオを見たり時間をすごす。二週間程前に放映されたNHK特集 写真家、木村伊兵衛について見る。 NHKの一時間半番組だったので大変見応えがあった。撮影したフィルム13万コマ今のデジカメ世代ならばそれくらいと言うかも知れないが物の無い時代の昭和の貴重な記録である。撮影されたコンタクトを見ながらどうしてあの傑作が生まれたのか荒木経惟氏の解説と加賀美アナウンサーのナレーションでつづられ感動場面は何度も見直した。有名な秋田「乳のみ児と母親」の写真は自分もその場にいて撮影している思いがした。

荒木経惟氏が最後にまとめとして語った。「懐かしさを感じない写真は駄目である。写真の中に自分の人生や考えが滲み出てこなくてはならない。」「懐かしさ」とは何であろうか、私は以前から何度も書いてきたが、懐かしさは人間の作り出したものでしか感じる事は出来ないと思う。人は自然だけでは懐かしさは感じる事が出来ない。富士山であっても人工の風景が手前にあって初めて懐かしさを感じると思う。人が長年歩いた道、何度も補修を繰り返し積まれた石垣、何年も着古された野良着、人の営々と繰り返された歴史に懐かしさを覚えるのではないかと思う。ほとんど人がネイチャー写真をされている。美しい人の立ち入れない世界を求めて撮影しているのであろうが、100年後でも撮れるダルマ太陽など今撮影してどうかと思う。本人が好きで熱中しているだからとやかく言う事はないが・・・・とやかく言うとるがな


懐かしい風景 その2

熊本県
何度も崩れ素人で組みなおした石垣、
裸電球の照明
この風景に懐かしさを覚え撮影した。
立派な茅葺き民家より貧乏たらしい(失礼)民家の方が味わいがある。

最近の人は木村伊兵衛氏を知らない人が多い。木村屋パンの創立者、あのアンパンをはじめて作った人でしょう。 その人は木村安兵衛

私が写真家として尊敬するのは
熊谷元一氏、園部澄氏、木村 伊兵衛氏である。
土門拳氏は厳しそうで寄り付きがたい。



懐かしい風景 満艦飾

撮影場所 篠山市
私が働き始めた頃は軍隊経験者が多かった。洗濯物を一杯干してある光景を見て満艦飾と言った。木の枝を利用した物干し竿、横では桜が満開、映画「幸せの黄色いハンカチ」のラストシーンのようでシャッターを切った。 その当時、私も若かったのでそんな人たちの話や言葉が新鮮で興味があった。嫉妬は悋気といい。建前は普請といい結婚は祝言と言った。通りは往来といった。

九州の東部で方言も豊かであった。沢山は「あまた」、帰るは「いぬる」と言った。 よく「よだきい」と言う言葉を使っていた。これは九州の大分、宮崎でよく使われる言葉である。この言葉は源氏物語にも使われていた「よだける」からきていると写真家「中村由信氏の日本方言図鑑」に載っていた。 方言の多くは昔使われていた言葉が多い。標準語の歴史はラジオ放送が始まったたかだか90年、方言と言われる言葉は1500年の歴史を持つ言葉もある。この歳になると変な言葉と馬鹿にする前に前に辞書で調べないと恥をかく。


懐かしい風景

茅葺民家に子供も同居であろう。子供の洗濯物、子供の自転車が見える。 こんなケースは洗濯物があったほうが生活観があって好きだ。プロの写真家は洗濯物など入れないが、茅葺民家を台無しにしない洗濯物は撮影する。
民俗学者の宮本常一氏の写真にツギハギだらけの服やすり切れた雑巾の写真があるが、この一枚の写真が田舎の厳しい生活を物語っている。

私がこの家を訪れた時には正面に二台車を置いてあった。どんな角度から撮影しても車が邪魔である。撮影の間だけ、移動願えないかお願いに行った。快く移動してもらい撮影ができたが、車や電柱、ガードレール、ブロック塀が入っては絵にならない。大伸ばしにしたら見られない。そんなのが入った写真を撮影してもゴミの山を作るだけである。電柱も360度家の周りを回れば入らないポイントがあるはずである。
家の人に断らず撮影したか、撮影の時にどれだけポイントを見つけるのに努力したか、判るのが写真の厳しいところである。 最近私は歩けないので挨拶にも行かず通りすがりの車の中から撮影する事が多い。写真に情熱が感じられないのではと怖い。


茅葺き民家に蒸気機関車の写っている写真をお送りします。
伯備線 新見市 先頭に一機、後方二機の三重連ですがここは茅葺き民家のコーナーですので蒸気機関車は控えめな写真を投稿しました。 撮影した頃はいくらでも茅葺き民家はあったのでしょうがそれに気づかなかったのもアホですね。 人間先の事を読めて行動をしていれば天才です。

天才イチローでも日々の厳しい努力がありひとつひとつクリアーしたから出来た事 凡人は毎日毎日ポケーとせずコツコツ努力、行動することでしょうか


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