刈り払い機と老人

職場での事です。

ホームセンターの勤務時間は午前9時から午後7時半をシフト制の時差出勤で勤務する。早出の社員は8時50分からお昼と休憩をはさみ、6時10分までの勤務です。

私は刈り払い機や園芸機械、農機具の販売修理の担当で、その日早出の仕事が終わり、職場を後にしたその直後の事です。

ある老人が、刈り払い機を2台持ってきて、エンジンが掛からないから修理を頼むと、私の売り場フォローをしている社員に話したそうです。

毎年の様にエンジンが掛からなくなり修理をしているとの翌朝、引継ぎメモがあった。

そのやり取りを見ていた私の前の園芸資材売り場の同僚が、夢想庵さん昨日、刈り払い機を夕方持ってきたお爺さん、少し痴呆が始まっているから、修理には注意した方が良いよ? どうしてよ?と聞いたら、散々自分の言いたい事を話して、帰りには自分の車を止めた場所も分からなくて、社員と一緒に車探しをしたんだよ。

挙句には、車に積んである刈り払機を降ろしもしないで、売り場でここに持ってきた自分の刈り払い機が無くなっているが、どうした!と社員に詰め寄り自分の車のトランクから刈り払い機が見えていたので、社員があそこにあるのがそうではないですか?と話したら降ろしたはずなんだが・・・・と話していた様子を聞かせてくれたので、修理前に機械を確認した所、刈り払い機の燃料タンクにはガソリンではなく4サイクルエンジンオイルが入っていた!

お店の開店時間前、若い社員が修理の仕方を教えて欲しいと話してきたので、最初にプラグの火花が飛ぶか。二番目に燃料と言ってキャップを開いたら、燃料の色も粘度もおかしい?少し取ってみたら、エンジンオイル?

証人も居る事だし、お客様に事情を話してから修理しよう~!電話をかけ、今までの経過を話し、燃料タンクにエンジンオイルを入れてリコイルを何回も引いた為、キャブレターや燃焼室「シリンダー」までオイルが入ってしまったんで、タンクもばらして清掃しますから、それなりの費用が掛かりますとお話した。

老人が、何処で間違えたんだろうか?仕方が無いな、、、、お願いします。と答えてくれたんで修理していると、事務所の女性が血相を変えて私の所にやって来た。

夢想庵さん、今、刈り払い機の修理を頼んでいる、○○さんと言う方が電話してきて、エンジンオイルなんか入れていない、お前の店で入れたんじゃないか?と話していたし、苗字を聞くのに訳が分からず、10分くらい話していたので少しおかしい方ですか?

今から、お店で買ったガソリンを持って来るので、確認して欲しいと電話が来たという。

再度、私が電話をした。

お爺さんは、我が家にはエンジンオイルなんか無いし、お宅で買った2サイクルガソリンしか置いてない!今からお店で買ったガソリンを持っていくから確認してくれ!と以前の電話口の老人からは想像もつかないくらい豹変していた。

1時間も過ぎた頃、老人がやって来た。その頃には昨日、エンジンが掛からなかった刈り払機も、すっかり快調に修理が終っていた。最悪、部品代だけでも頂くか?と思っていたが、再度、エンジンが掛からないで持ってきて頂いた刈り払機がこの様に復活しました。

原因は、このエンジンオイルによるものです、と説明した。

老人は納得してくれた。刈り払機を車に運びこもうとした時、自分の車を止めた場所が分からない?どう見ても元公務員かサラリーマンでも役職に就いていたような、身だしなみです。

車を見つけ、刈り払機を積み込み、何時でも調子が悪い時は持ってきて下さいと話し、事件は落着しましたが、刈り払い機の修理の前に自動車免許の返納が先だろう?

ブレーキとアクセルを間違えたり、高速を逆走したりしてからでは手遅れですね。

お昼の時間、事務の女性が夢想庵さん、あのお爺さん納得しました?大丈夫だったよ、私もいずれ行く道だからね・・・・と笑った。

子供叱るな来た道だもの、年寄笑うな行く道だもの・・・・・・家族はどうしているんだろう?
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