流木アートと手打ちラーメン活力屋

息子が小3で転校してから、短大を卒業するまで、同じクラスで遊び呆けた兄ちゃんが居る。ここではS君としておこう。

S君、短大を卒業間近に成っても就職を探している様子もないし、焦っている様子もない?しかし、就職しない訳にもいくまい。高校の時から我が家に遊びに来て、カクテルを飲んで酔っ払い泊まっていた息子の同級生。

近頃の子供には珍しく本当に素直で良い子なのだ。S君就職がないなら、叔父さんの会社の下請けさんを紹介するか?お前なら紹介できるよ!溶接や組み立ての仕事だから、パターンが解れば充分やっていける。一度、工場を案内するか?と言ったら是非お願いします。と言う事になって、両親も我が家に挨拶に来た。

お爺さん思いの心優しい青年だ。紹介した会社の社長も、心良く彼を引き受けてくれた。しかし、やはり彼には合わなかったのか?仕事の工程を中々覚えられない様だ。数ヵ月後S君が僕には今の仕事は合わないようです。と退職の意思を私に伝えてきた。

それから、老人介護のボランティアをしていた病院に採用されデイケアの仕事をしていたらしいが、そこで、栄養士をしていた、とびっきりの彼女を見付けると、退職して今度は警備会社に勤務しながら、無謀にも、毎年、行政書士試験にチャレンジして来た。

暫く、我が家にも足が遠のいでいたが、最近、どういう事か?流木アートに目覚めたようだ?週末になると、海岸線や河口で流木を拾い、何やらアートを作っているようだ。S君今度、叔父さんにもそのアートを見せてくれ。と頼んだら自信満々で我が家を訪問してくれた。

センスは良い!上手だと褒めた。駄目な作品は褒めても調子に乗るだけだが、本当に良い感性をしていた。木の組み方、止め方を少しアドバイスした。それから何故か私のことを先生?と呼ぶのである。

S君可愛い彼女と結婚するのかい?彼は今年29歳、来年結婚するので式場を予約して来ました!それなら、はっきり言うが、行政書士は諦めた方が良いな。叔父さんの経験だと人間の頭は、物覚えの良い脳と不得意な脳があり、我々は後者の物覚えの不得意な脳を貰ってきた様に思う(笑)

物覚えの良い脳は試験資格を取るには最適の頭脳で、一、二度参考書を読めば内容がすんなり頭に入る。我々脳は知識や情報をある意味遮断してしまう脳味噌なんだよ。だから試験勉強には向かない脳なんだ。目標「結婚」が見つかったなら、夢を追いかけるのも良いが、現実を考えないとな?独身だから出来ること、家族が居るから出来ることが有ると思うんだが・・・・ しかし感性や感覚の世界は試験の点数取りとは違うから多くの素晴らしい作品から刺激を貰い感性を高めていけば、プロに成れる成れないは別として楽しめると思うし、良い作品をみて、自身の作品に反映させる事が出来れば必ず表現力は上がると話したら、S君毎週末、釣竿を持ちイシモチを釣りながら、流木探しをして来たのである。

彼女のために、流木を組み合わせて「本立て」を作り、二作目はアート感覚など微塵もない我が息子に「そよ風」と言う題名のアート、三作目が「蕾」、四作目が7月26日の夜、突然電話があり、作品出来ました!今から持って行きますから見て下さい。四作目の「向上心」と言う題材の流木アートを持って意気揚々と我が家に乗り込んで来た。

丁度、大和魂君が居てS君、新作を持って来るらしい。と話したら今までの経過「S君と同級生」を見て来た彼は、冷ややかに、作って何ぼでなく、売って何ぼですから~!と話してた。しかし私は作品を即、お金に換算するのはあまり好きではない、多くの作品を見て、感性を磨き作品を作らないと表現力や完成度の高い作品は生まれないのも事実だと思う。

今、大和魂君も友人達3人共同でオモチャの様な手漕ぎボートを買い、法に触れないようにエンジンを取り付けて、ダム湖などで遊ぼうと皆で出資して船、エンジン、トレーラなどを買い、塗装などしをして準備をして来たようだが、ここに来て金銭面や意見の相違が出ている様だ。役割分担をしっかりしていないと、3本の弓は1本の弓より脆い。投げ出すのではなく、最後までしっかり纏まって欲しい。勿論、叔父さんの出来る事は協力するよ。大和君お前さんも女房以外に何でも話せる協力者が必要だな。成功者と言われる人の陰には必ず、良い参謀や協力者や理解者が居るものだよ。アウトローの大和君叔父さんは君にも期待してるよ。しかしその強力な個性を生かせる仕事を見付ける事だな?

それにしても今回のS君の作品はお見事だった。素人の私が言うのも何だが変哲も無い木を主役のポジションに置き脇を銘木達が固める。素晴らしい作品に感動し感想を話した。彼も同じ気持ちだったらしく共感し涙していた。

人は褒められて育つ。少しでも良い所を伸ばしてやる。それで良いと思う。素直で謙虚な気持ちが大切だ。この青年S君は育て方次第では伸びると思う。しかし調子に乗るなよ!今は駆け出しの半人前なのだから・・・・・ 知人の話だが、趣味も20年続けられれば、運とチャンスを旨く掴めばプロになれる。お金は誰しも欲しい。叔父さんなんか実力も無いし、作品に力もないから、作りっ放しの過剰在庫だよと笑った。

S君、叔父さんは今日、こんな手紙を書いたよ。人生の終わりまで、100人の弟子を育てたい。そして開店資金まで協力したいとの想い。この藤田さんの生き方に共感したんだ。

広野町で手打ち中華 活力屋を経営、2008年末に店を閉め、泉町に新店舗を2009年6月に開店させた、新「活力屋」ご主人の藤田さんに手紙を書いた。以下の文章である。

前略
活力屋 藤田様

はじめまして。いわき市内郷に住む夢想庵「実名」と言います。

広野町で活力屋を開店してから、女房と家族で何度もラーメンを食べに伺いました。今回、泉町に移転オープンした事を聞き7月18日お邪魔しました。

昨年末の12月14日営業最終日にも、偶然にも立ち寄る事が出来て、藤田様の暖かい心遣いを頂き、自身のHP「かわずの落書き、迷木がまたやって来た」で勝手に少し紹介させて頂きました。

パソコンで「活力屋」を検索しました。活力屋HPで修行時代の事、藤田さんを取り巻く協力者の方達の事やこれからのビジョン等、興味深く読ませて頂きました。

私は、趣味で全国を訪問散策して、今まさに消えようとしている、茅葺の民家を追いかけて、精密模型に再現しております。出来るだけ指定民家や文化財は作らず、屋根の下に生活観のあるお宅を訪問、土地の人との語らいを大切に全国行脚しました。趣味といえども、30年近くも民家を追いかけ模型を作れば、報道関係やマスコミにも取り上げてもらう事も多々ありました。

度胸が無いのか、作品に力が無いのか?今日まで1棟も売却せず、屋根裏部屋に仕舞い込んできました。

しかし、「継続は力なり」でしょうか?他人から見て馬鹿げた趣味も、長く続ける事で、やっと今、作品達が我が家の屋根裏から、長野県の国営の施設での展示へと、いわき市から飛び立とうとしています。

新しいお店、素敵に出来ましたね。フレンチのレストランの様な雰囲気で古材に命を吹き込んだ設計施工の業者さんの心意気を感じました。

私の自宅も古材を使って、12年前に新築しました。私が家を建てられたのも、すばらしい協力者と工務店さんとの出会いが有ったからです。とにかく古い物が好きで、どこかで古民家が解体されると聞けば、出かけて行き、その古民家の最後を見守って来ました。

倉庫?にもダイヤガラスや古材の建具なども有ります。藤田様のお弟子さんがこれから、新しい店舗作りに使えるなら、ご活用下さい。

残念ですが、もう少し早く、藤田様の事や今回の新店舗の事を知っていれば、微力ながら応援出来たかも知れませんが、同じいわきに住む者として、これからの協力は惜しみません。

自身のHPも開設から5年目に入りました。楽しい中間達と遊んでいます。リンクを貼らせて貰っても良いでしょうか?

自身のHPの検索は「夢想庵」で検索していただけると茅葺き模型と出てきます。写真は素人、かわずの落書きは誤字脱字ばかりの纏まらない文章ですが、日常生活の中での納得いかない事や笑える話、古民家や古材、材料に対する想い何かを書いています。

最後にラーメンは美味しいのですが、大盛りの麺の量が私には足りませんでした〔笑〕特盛を頼みたい位です。

また伺います。100人の弟子を是非育てて下さい。応援しています。

※本来は自筆のお手紙が一番なのですが、筆不精で申し訳ありません。機械に頼っています。決っして自慢では有りません!NHKに出演した時の、DVDです。ご笑納下さい。
    
草々


茅葺き模型工房 夢想庵 「実名」

昨晩、S君は私が書いた藤田さん宛ての手紙をプリントして持ち帰り何度何度もも読み返した様だ。

翌日、S君からお昼に電話が来た。先生?平○村の流木アートのラーメン屋○○に作品を置いて売ってもらおうかとも思ってましたが、自分も先生の様に作品を売らないで、作品から一人歩きすまで、ゆっくり作品を作りますとの事だった。何時までも少年の様な心を持つS君、きっと何時か君の感性が花咲く時が来ると信じてますよ。

※余談だが、平○村の店内に流木のアートが飾ってある店がある。白河ラーメンの系統だ。開店、間もない頃だろうか?女房と偶然入ってみたが、私達の後に入店した客が私達よりラーメンが出るのが早かったり、挙句の果ては、私が注文したラーメン「セットメニュー」が迷子になり散々よそのテーブルをたらい回しされてから、我がテーブルへ!さすがに我慢も限界。キャンセルして食べずに店を出た。

2度目は友人達数人と入店、スープがぬるくて不味かった。3度目は2009年6月末、玉川村の「麺のくぎや」さんにお中元を買いに行った時の事、女房はラーメン私はラーメンと餃子のセットを注文。スープは臭い、コクが無い、おまけにライスはお粥の様で尚且つ熱くて食べられない。入店は11時半。昨日の残りのご飯をレンジで温めたのだろう?

S君にお店を紹介した時も、残念だが流木は良いがラーメンは、あまり期待しないように話した。ラーメン食べたか?返事は聞くまでも無く×  もう一度「もてなしの心」を修行した方が良いかも?

喜多方市は、しぐれ亭の志村ママから本当の「もてなし」の心を教えて貰った方が良い。今まで、何度も書いたが、どんな達人名人が打った蕎麦より、食べて貰う人の事を想いながら素人が心を込めて打った蕎麦には打ち手の心がこもり、名人も達人も叶わないと話していた事を思い出す。

2009年7月28日夜9時頃、藤田さんから丁寧な電話を頂いた。会話の中で、もう少し私のアンテナが高ければ、少しでも店づくりに協力できたかも知れないのに残念ですと話した。藤田さんが、いわきに熱中時間に出演された方が居たとは驚きですと話してくれた。嬉しい事に活力屋のHPをリンクさせて貰う了解も頂いた。 今度もし、お店に来られる様な時は厨房は奥まっていますが、気軽に声を掛けて下さいと気さくに話してくれた。60歳を過ぎて尚且つ高い志を持ち、人生の終わりまでに100人の弟子を育てる事を目標とする藤田さん、必ず達成出来ると信じております。

そしてS君、人生は長い。焦る事は無い。川を流れる流木は数年、数十年かけて海へ河口に流れ着き君に拾われる。山からの倒木や折れ枝が石や岩に引っかかりながら、長い年月をかけて海に来る。海でまた波や岩に揉まれて更に不要な部分を削ぎ落とされ砂浜や河口にたどり着く。その流木たちはS君と出会う為、拾って貰う為にその場所で君を待って居たんだよ、パートナーとの出会いと同じかも知れないな~?人間、一人一人感性も違うんだよ、それが個性だと思う。 君が拾った木は、私には興味が無いかも知れない?私の拾った木は君が興味がない木かも知れない?それで良いんだよ。イメージしている事が違うんだから。だから流木拾いは面白くてやめられないのかも知れない。S君、次回の作品も楽しみにしているよ。
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