茅葺き珍石達との出逢い

津軽は弘前市での事。20年来の付き合いのある運送会社での事である。今年早い時期に納車した車が事故を起こした。まだ一ヶ月も走っていない。夢想庵さん先日納車の車、高速で事故を起こしてしまった!運転手の怪我は?単独事故か?相手は居るのか?出来るだけ早い時期にそちらに向かうよ!と話して数日経過後、津軽に向かった。幸いにも、単独事故で車両保険も入っている様なので、安心したが修理費用は500万は超えそうであった。

話も一段落すると、社長が夢想庵さん石の見方は出来るの?石?水石は叔父さんが趣味で観た事がある程度。庭石は、地元の鮫川石、や山形の鳥海石、佐渡の赤石、茨城の筑波石、位しか知らないよ?

知人の倉庫に、茅葺の家の様な小石が有るんだよ。知り合いの会社社長の亡くなった親父さんが、半世紀以上も掛かって集めたらしいが、その息子さんは、石には全く興味が無いらしい。それ所か邪魔だし価値も解らないから処分したいらしいとの話だった。水石や庭石なら見たくもないが、手のひらに収まる位の茅葺きの民家の様な石と聞いてからは、見ない訳にはいかない!

弘前市の隣町の青森りんごの故郷、板柳町に向かう。バス会社やバッティングセンターなどを経営する地元の名家だろうか?ゲームセンターの倉庫らしき所に、無造作に父親の遺品達は収納されていた。見たこともない石達が数千点は有るだろうか?

そこの、一番奥に茅葺の石達が置かれていた。これ!本当に自然石ですか?手に取ってみても良いですか?了解を貰い、真近で拝見したが、後で人為的に手を加えた様子は無い。他の方達はどう見るかは別だが、私にはその石達が素晴らしい物に見えたのです。その他、青森らしく船のラットとか、骨董品も少しあったが、売りたいなら、ネットオークションで売却すれば良いと、お話して戻った。

途中、友人の社長に「茅葺の石ころ」譲って貰えるなら欲しいな~?と話したら、多分、譲ってくれると思いますよ?そん時は、譲って貰ってよ?お金は振り込むから?そんな話をして、帰路に着いた。

6月の終わり、山形、秋田経由で津軽に向かった。友人の社長に電話をした。今晩、鍛冶町でどうよ?すると、夢想庵さん、あの石の事だけど、幾らでも良いから、買ってくれるなら買ってと言ってたよ!との事。

それじゃ、明日の朝、お金を用意して9時過ぎにお邪魔すると連絡してもらった。買い取った金額はここでは書けないが、10個で数万円だった。父親が愛情込めて収集した物なのだが、まさかこの様な形でこの茅葺の小石が我が家にやって来るとは予想もしなかった。

やがて私の収集した骨董品やガラクタもおなじ運命かもしれないが、今回、津軽の収集家からお預かりした、自然の芸術の茅葺の石を茅葺の模型同様に大切にしていきたい。早急にこの石達に台座も作ってやりたいと思っている。

HPにリンクしているアトムさんにも、銘石鑑定家の知人にも、この石達は津軽から福島の夢想庵宅に来るべきにして来たんだな。と言われた。捨て犬や猫達と同じで、板柳町の倉庫に置かれた石達は今後どうなるのだろうか?出来れば石の解る収集家や愛好家の方達に引き取られて行って欲しいと願うばかりだ。

後、20個位茅葺の石は残っていたが、津軽に行くたびに10個づつ買う約束をした。友人の社長が言っていた。石を探すのは夜が良い。昼の川原は石が見えすぎて見つけ難い。夜、懐中電灯をもって光の照らす部分だけを散策して行くと、銘石に出逢える事が多いそうである。それにしても、今回の茅葺の小石には、自然芸術の神秘を見せつけられた様な気がする。
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