農家民泊1

古民家再生でも書いたが、私の知人が、過疎化の進む山里の空き家を借り受けての、団塊の世代向けの宿、農家民泊の古民家再生の工事が始まった。数日前に、知人から電話を貰っていたので、現場に立ち寄ってみると、大工さんらしき人二人が、玄関に脚立を組んで、多分数十年振りと思われる煤払いをしていた。 この手の家は、再生に本腰を入れれば、新築の家が建つほどのお金が掛かる。長く空き家に成っていたので、外見からの見た目よりも、床材などは、ブカブカの状態だ!しかし床材よりも天井から綺麗にしないと、作業順序が逆になる。しかし数十年から数百年にわたり、染み付いた煤はそう簡単には、綺麗にならない。

囲炉裏の上などは、煤が固まり石炭の様に成っている。マスクをかけて、仕事の終わりにはシャワーを浴びてからでないと、汚れが酷く帰れないだろうと、見ていて心配になった。帰りに、依頼主の知人のお店に立ち寄り、途中、古民家再生の現場に立ち寄り作業の様子を見てきた話をした。人が住める〔宿泊出来る〕様にするには、少なくても500~700万の改造費が掛かりそうだ?

それでも、知人は農家民泊のビジョンを私に熱く語るのです。晩は海の幸、山の幸のシンプルな料理、朝は、無農薬米と有精卵生卵、納豆、のり、朝漬、味噌汁のみ。一日一組限定宿泊〔一人税込み5,250円の予定〕。日中は手打ち蕎麦を、昼限定で振る舞うと言う。会津産のそば粉に「てんぷら」を付けて天ざる蕎麦お昼限定800円〔税別〕でお客に出そうとしている。その天ぷらも冷凍海老など使わずに、いわき名産の小振りな柳カレイ〔高級品〕を使いたい!と話していた。通常の天ざるは1200円~1300円はする。さすが食のスペシャリストだ!そして大盛の料金も同一にすると言う!から驚いた!実際に彼のステーキのお店は旧国道沿いでお世辞にも立地条件は良くない。しかしランチ時には、100人からのお客が入るという?どうして?それは、真面目な商品を格安限定で提供する事だと話していた。 お昼のステーキ定食15食680円〔税別〕やはり消費者心理?安いステーキ定食はすぐに完売するそうだ!そして、そのランチタイムを土日もやっていると言う。土日などは、家族での入店が多いので、すぐに売り切れてしまうと笑った。消費者心理を巧みに、捕らえたその商法には関心、納得した。私の中で、もしかしたら、この商売は、旨くいくもかも?知れない?何て思い始めるのである?

実は彼がこの古民家を借りたいと、持ち主の大家さんに相談した時、空き家にして、固定資産税を払うよりは、月1万円でも貰って税金を払った方が良いと考え、その他の空き地、倉庫、蔵、等も使っても良いと話して貰い、喜んでいた様だが、この話にも落ちは有った。

最近、正式に契約書を取り交わした様だ。まず5年間の契約それから3年おきに契約する事にしたのだが、当初、大家さんが、考えていた再生よりは、かなり大胆な工事らしいのと、無責任な人達や身内の入知恵もあり、契約時に5年後の家賃の値上げを話して来たと言う?知人が借りなければ、やがて朽ちて行く運命だった空き家の民家。再び命を吹き込み再生しょうとすれば、先を見越して賃貸料金の値上げ話しをしてくる。如何なものか?どうして長い歳月家族を見守ってくれた民家が、自分達が捨てた家が、崩壊の危機を脱して、また再生されこれからも生きて行く事を、素直に喜び協力してやれないのだろうか?

始めは使って貰うだけで、何よりだと話していた大家さん?知人は、これからの事を考えると、最初の話をした時、200~300万で土地ごと買ってしまえば良かったと話していた。人の欲には限りが無いのだな~と、また考えさせられる出来事だった。

挙句の果てには、程度の悪い桐箪笥や壊れた、時計、箪笥は、借用書付きで貸してやると言われたそうである。骨董、古民具、収集家の夢想庵も欲しがらない。ガラクタ同然の箪笥だ!欲に目がくらむとゴミまでお金に見えて来るのかな~? 昔、骨董屋の主人の初出し〔個人宅の買出し〕の手伝いをした事がある。家人が自慢して高く売りたがる品物は大方の場合ろくな物が無いし、贋物や時代の下がった物も多い。それより、蔵の階段の裏手の様な、家人でさえも、今まで片付けたをした事が無いような所から、ホコリだらけの時代のある、お宝が出てくる事が多いのである。知人は大家さんに、そんなに大切な物をお借りして、壊れたり、盗難にでもあったなら心苦しいので、大家さんの方で管理して下さいと、やんわり断ると話してました。さすが商売人!

私が彼に古民家再生の相談を受けた時、1棟でもいわき市から朽ちて行く民家達が救われるなら、協力は惜しまないし、商売も成功して欲しいし、お礼等の必要も無いし、求めたりもしないと話したら、不思議な顔で見られた。

私が危惧するのは、小さな集落で、こんな話が知れ渡り、空き家がお金になる! 借りたい人からは法外な家賃?を取る様な事の無いように願うばかりなのです。人の住まなく成った屋敷は傷みが来るのが早い。もしこの計画が頓挫する様なことがあれば、この地域の過疎化が一層進む様な気がしてならない。

・・・人間の欲には困った物である。 ♪~限り無いもの、それが欲望~♪ ・・・

農家民泊の家
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