古民家再生

古民家、古民家再生とか?この所、そんな文字の躍る雑誌や写真集を良く目にする。 この現象は、一過性のブームのような気がしてならない。少し前までは、古民家の材料も産業廃棄物でしかなかった。私が30年以上も前、田んぼの中に放置してあった、茅葺きの家の梁や上材をいただいた頃は、持っていってくれたと感謝されたものです。そんなエピソードを書いてみます。

福島県は平田村での事です。

友人と偶然に通りかかった道路から黒く光る民家の解体された材料が山積みされていた。その頃の民家の解体材は廃棄物でしかなく、建設機械でバリバリとあっけなく解体された。はじめに屋根の茅を外し、戸障子や襖を外し、土壁を落として、一気に解体した。私が頂いた、材料が出た家は、その地区で一番大きな家で、山の法面に建ち解体車両や建設機械が入れないため、人力で解体された。

解体材を土手の上から下の田んぼに転がして落として、野積みしている所に、私達が通りかかったのです。スミマセン!この古材どうするんですか?これから細かく切って、風呂の薪にするんだ!梁は赤松と目の積んだ杉。分けて貰うわけにはいきませんか?うぅ~ん。タダとは言いませんから、必死にお願いして、5万円と上棟式に使う日本酒5升で話がついた。週末の土日で、いわきから往復80キロの道をクレーン付の4トン車で6往復した。長いものは10m以上の材料も有ったが、当時は無我夢中での運搬だったので、今、考えると怖くなる〔笑〕 その煤が真っ黒に付いた材料を友人のドライブインの空き店舗に運び寒さの中、一本一本、水洗いして何時になったら使うか?解らないので防腐剤を塗り、保管したのです。今から10年前、フッとした事から想定外で自宅を新築する事になった。 20年間倉庫で眠っていた、材料達が陽の目を見る時が来た。赤松のチョーナ仕上げの真っ黒な梁が蘇りました。茶の間の腰板は古い飴色の板戸「帯戸」をばらして使い、自己満足だが、それは趣きのある家が出来たと満足している。

昨今では、業者さんが、古民家を買い取ったり、更地のする約束で解体して材料を保存し、法外??な価格で売っているなどと言う話も聞きますし、高価な価格で売りに出ていたりする。勿論、古材を本当に大切に考え斡旋したり紹介したりしている真面目な方達や業者さんも居る事は、決して否定しない。新築の家に古材を使うと言う事は、在来工法を良く理解し、高断熱、高気密といった住宅でなく、家も柱も壁も呼吸している事を忘れてはいけない。?特に数百年、家族を見守ってきた古材は高気密住宅には向かないと思う。高断熱、高気密住宅の適した木材など皆無ではないか?

古材は時代を買うといえば、高価格もしょうがないのか?古民家再生?居酒屋、焼き鳥屋さんのディスプレイや雰囲気作りが目的でなく、本当に木の良さ、古材の良さを理解る方達に使って頂きたいと、心から願っている。

私も、数年前、知り合いの不動産会社社長の仲介で、福島県会津若松市の郊外の、星○鉄○の自宅解体に立会った事がある。戦時中は軍需産業に携わり、一日、一万円の純利益を出したとの話も聞いた事がある。庭も盛期には素晴らしかったに違いないが、今になっては、荒れ果ててしまっていた。家の内部の拝見したが、欄間や本床の違い棚や筆返しは黒柿で出来ている。襖、障子、書院の組子どれを見ても一級品だった。どうせ機械で壊してしまうのだから、欲しい物があるなら、持っていっても良いと言われていたので、2トン車1台分のダイヤガラスや古材をいただいて、友人の家の倉庫に置いて貰っている、使うあてもないので、木の好きな方や古民具好きな人が居たら分けてやりたいとも考えいたのである。

最近になり、古民家スタイルの読者の方で、いわき市南部地区にて、ステーキハウスを経営する方から、電話を頂いた。過疎が進む、いわき市田人町にかやぶき屋根〔外はトタン張り〕の民家を借り受け、農家民泊を計画しているとの事、ついては、再生するに、色々とアドバイスをして欲しいとの事だった。その過疎が進む田人地域の民家を拝見したが、その地域一番の素晴らしい民家で、何なら私が住みたいような民家だった。団塊の世代を相手に農家民泊?をしたいとの事。どちらにしても、ボランティアではなく、お金を頂いての宿泊ならプライバシーの事を考え、それなりの再生をしないと、いけないだろう。いわき市の田人地区もポツポツと空き家が目立つ。何とかして人が出入りする受け皿を作れれば、過疎や高齢化にも歯止めが掛かり、産業や地域の消費拡大が起きるかも知れない。彼は今年度で終わりになる、その地区の給食センターを利用して、地域のお爺さんお婆さん達の、生きがいとしての特産品の開発などを私に熱く語った。

そして、食べ物を扱う者としての、日本の食料の需給率の事やコンビニの「おにぎり」「お弁当」を食べて、今まで食中毒になった人がいない事。自分が炎天下の中「コンビニのおにぎり」と「自宅で作ったおにぎり」を車の窓越しに置いて実験したが、コンビニのおにぎりは、炎天下の車の窓越しに、半日置いても悪くならなかった事を話してくれた。自宅で作ったおにぎりは、1時間で匂いが出てしまったと話していた。こんな物を食べているから、親が子を虐待し、その子は学校に行ってイジメをするのかも知れない?と言われた時には本当にドキッとした。日本人が日本人を忘れアメリカナイズされたからであろうか?ア◎◎カ人は、合成保存料を体内に取り入れすぎて、土葬にしたとき、土に返らないで、ミイラになってしまうと聞いた事がある。どこかのコンビニのサンドイッチは無添加にしたとか??テレビで観た事がある。 まんざら、当たらずとも遠からず?の様な気がする。

話が横道にそれたが、この農家民泊計画に私の古材や今までのノウハウが生かせれば私としても嬉しい限りなのだが、こんな事を計画するような人は殆ど再生の費用は無いに等しい〔笑〕

成功の鍵を握るのは、その地域の方達をどれだけ巻き込んで協力者を得られるかだろう!私の友人にこの田人町出身の友人がいる。早速相談したが一言、その部落の「人望のある実力者」を巻き込んで行動するのが、成功への近道だと話してくれた。〔納得〕 

夢想庵! 態度はデカイが、人望と実力と信用は無い。
inserted by FC2 system